atelier HIBARI

La casa del sol

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今回は英語よりスペイン語の気分。

La casa del sol 太陽の家


川口太陽の家「工房集」で開催された
アンデパンダン展「生きる」を見に行ってきました。

私は小さい頃から絵を描くのが大好き。
雨の日には、こたつにみかん、チラシに落書き。
ネタを描き尽くしては「お母さん、何描いてほしい?」と
訪ね、母親を困らせていました。

中学、高校の授業を聴いた記憶は
地理、保健体育、美術を除いては全くありません。
ひたすら、教科書の隅にいたずら書きをしたり
イラスト付き交換日記やら手紙を書いては
机の下からこっそりパスしたりしていました。
みんなが褒めてくれたり、喜んでくれるから
たくさん、たくさん描いていました。

雲行きが怪しくなってきたのは、大学受験の頃から。
美大に進学しようと思い、高三で週3回だけ美術予備校へ通いました。
絵を描くことは引き続き大好きで、数学や科学を学ばないで
美術を学び続けられるなんて最高!と思いつつも、
時間内に上手に描くことは苦手。
色々なテクニックを習えたし、生涯つき合える先生や友人に出会えたけれど
予備校での訓練や受験はもうコリゴリって正直思いました。

小さい頃の無目的にただ「絵を描くことが大好き」と言う気持ちは
いつのまにやら消えて無くなってしまいました。
大人なんだし、仕事なんだから当たり前?
いやいや、今でも人を驚かせたり、喜ばせたりしたい。
ただただ、ものをつくりたい。
やっぱり、いつもドキドキしていたい。
そんな気持ちがよみがえる展覧会でした。

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工房に着くとアートディレクターの中津川先生がいらして
早速この展覧会の趣旨をお話ししてくれました。
(バンタンの先生ですがバンタンのとは言い尽くせないぐらい様々な活動をされています)

「今回は彼らの作品をアートと言わず、表現と言うことにしたんだ」
「彼らにとって表現は生きることなんだよね」

この言葉の真意はどういうことなんだろう?
頭では理解していたのですが、心で感じられていない。
それらの言葉を頭にぽっかり浮かべ、作品を拝見しました。

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左:コンクリート敷きの床に真っ白な壁、ホワイトキューブにカラフルな作品が美しく配置
右上:フンデルト・ワッサーのような、未来派のような作品。すべて色鉛筆で描かれています
右下:「雨が降って!台風が来て!!」台風により吹き飛ばされた傘を連続的に描いています

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新聞や広告をクシャクシャになめした作品

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ティッシュペーパーを規則的にたたみ、マーカーでドットを描いた作品

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ぐるぐる毛糸や糸を巻いて制作された立体作品。カフェにも作品がズラリ

写真はここまで。メインの展示室に入ったときには撮影することをすっかり忘れて
作品に見入ってしまいました。普段はそんなことないのに。

作品からはグリグリ、クシャクシャ、グルグル、キラキラなど
オトマトペ (擬音語/擬態語) がたくさん浮かんできます。
規則性、連続性も特徴。

これらはみな、何らかの障がいを持っている方々の
いわゆるアウトサイダーアートやアール・ブリュットと言われる作品です。

中津川先生やこの工房で働くスタッフの方々は
仲間 (アーティスト) の制作を「教えない」というスタンスでサポートし
彼らの表現=生きることを支援しているのだそうです。

具体的には、彼らの作品を広く外の世界へ発表する場を設けたり、
作品を通し、工房の仲間みんなが潤う仕組みを日々模索されています。
ファッションデザイナーとのコラボや
グラフィクデザイナーと組んで商品開発をしたり。

少しお酒が入り、いつもより饒舌になった先生が色々なお話をしてくれました。
10年前の立ち上げでは予算が十分でなく、ほぼボランティアで仕事を受けていたこと。
現在ではスタッフも先生も対価が支払われ運営されていること。
仲間のご両親に生産性のある労働ではなく、芸術活動を推進する意味を
理解してもらうのに時間がかかったこと。
けれども今ではご両親がたも理解を示してくれて
カフェの運営など積極的に活動されていること。
彼らにとって日々の表現が、日々の生きる営みだということ。

展覧会の中で行われたトークに飛び入りゲストで(?)
工房集のアーティスト西川泰弘さんが加わり
とつとつとご自身のお話をされました。

工房集にくる前は、自身の選択がなかったこと。
作業所では、繰り返しの単純作業に従事していて
それが自分は合わなくて、時々暴れてしまったりしたこと。
精神病院に入らなくては行けなかったこと。
工房集にたどり着いて、初めて自ら選んで「ここに居る」と実感したこと。
海外で作品を発表できた喜び。
自分の作品に10万円の値段がついた驚き。
表現することが社会と繋がり、生きるということに直結すること。

ちょっぴり切ないお話にみな聞き入り
目に涙を浮かべている人も居るというのに.....
先生や工房集のスタッフは笑いをこらえるのに必死。
最後にはクスクス笑いがこみ上げてしまいました。

これが、工房集が太陽サンサン、ラテンムードの秘密。

ここのアーティストもスタッフもみんな仲間。
障がいをもったアーティストを美化して天使のように接するのではなく
私たちと何ら変わらず、時にはちょっと、ずるくて、ちゃっかりしている。

「西川さん、お金の話ばっかりするんだよ」

と誰かがポツリ。

マジョリティーとマイノリティー
強い人と弱い人
教える人と習う人
というカテゴリーが無い。

みんなただ仲間として存在していて
だれの犠牲も払わない仕組みがある工房集。
私たちの社会の理想型だなと思いました。
社会でも学校でもこの関係性や仕組みから
学ぶことは沢山あると思う。

最後に、一緒に展示を訪れたバンタンのマメドリマオ先生の言葉。
(ブログより引用)

「本当はわかっていた自分のコンプレックス。
しまっていた箱をどーんとつぶされました。気持ちいいくらいに。
彼らの作品を観て、心の底から悔しくて、
めちゃくちゃ作品を作りたくなりました。」

そうだ!そうだ!
制作しよーーー!

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アーティストの作品集はどれも刺激的です

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今井幸彦詩集「みんな生きていたい」
造形だけでなく、文章の作品もあります。
この方の言葉にグッときました。
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by atelierhibari | 2011-10-03 11:06 | Exhibition